タダより高い買い物はない?

みなさん、こんばんは。

司法書士@五反田の荒谷健一郎です。

とうとう梅雨の季節となり、じめじめむしむししますね

唐突ですが、今はまっている本は横山秀夫氏の「64(ロクヨン)」という警察小説です。結構ボリュームがあるのですが、一度読み進めると、次の展開が気になって、仕事に影響しそうです(笑) (もちろん冗談ですよ)

さて、表題の件ですが、本題は、「自筆証書遺言」についてです。

遺言というと、一般的には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります(実際にはもっと種類がありますが・・・)が、自筆証書遺言のメリットは、「お金がかからない」と言われ、公正証書遺言のデメリットは、「お金がかかる」ことだと言われております。

では、本当に「自筆証書遺言」はお金がかからないのでしょうか?

確かに、自筆証書遺言の作成時には、お金がかかることはありません。しかし、自筆証書遺言の場合は、効力発生(遺言者死亡)後、家庭裁判所で検認手続を経なければなりません。

当然、検認手続には、手続費用がかかります。手続を専門家に依頼すると、その専門家に支払う費用が別途かかります。また、検認の際には、相続人が家庭裁判所に出向く必要がありますので、当然交通費や手間もかかります。

検認について、詳しく知りたい方はこちら。 http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_17/

以上を聞くだけでも、「お金がかからない」とは言えないな〜と思われるかもしれません。

しかし、自筆証書遺言には、他にもデメリットがあります。

1)一番は、偽造(勝手に作られたり)・変造(内容を書き換えられたり)・紛失(作っても見つけられなくなったり)・滅失(間違って捨てられたり、もやされたり)の恐れがあります。(公正証書遺言は原本が公証役場で半永久的に・当人が生きていないだろうと言われる年齢になるまで保管されるうえ、全国のどの公証役場で作成しても、公証役場の遺言検索システムにより、検索することが可能です。)

2)金融機関によっては、有効な遺言として扱ってくれないところもあります。本来ならば、自筆であろうが、公正証書であろうが、無効確認判決でもでない限りは、遺言は有効と扱われるべきですが、現実には、「自筆証書遺言」というだけで、遺言書だけでなく、相続人全員の印鑑と印鑑証明書を求めてくる金融機関もあります。(遺言書に瑕疵がない限りは、裁判すれば、基本的には勝訴するであろう場合にもですが、裁判をするには時間もお金もかかりますよね。)

3)要式不備で折角作った遺言が無効になる恐れがあります。自筆証書遺言の書き方は、法律で定められており、その方法に則って作成しなければ、無効とみなされます。(その点、公正証書遺言は公証人が最終的に作成いたしますので、要式不備になることはありません。)また、自筆証書遺言ですと、専門家でもない限りは遺言作成に不慣れな方が作ったものになるので、表現があいまいであったり、遺言者が意図しない内容が表現されてしまうこともあると思います。もちろん、遺言が効力を生じるときには遺言者は亡くなっていますので、遺言者は訂正できるわけがありません。(対して、公正証書遺言であれば、公証人他、当職などの遺言専門家が作成に携わりますので、法的にあいまいになることはまずありません。)

以上のようなことを考えると、「自筆証書遺言は本当にお金がかからないのか?」と思うだけでなく、「タダより高い買い物はない。」という言葉が当てはまりそうな気がします。

反対に、少々お金がかかっても、しっかり保管され、専門家のチェックが入り、検認手続を省略することができ、無効となる可能性がほとんどない公正証書遺言は、決して「高くはない」と私は思います。

みなさんは、いかが思いますでしょうか?

 

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