生前に相続放棄をしてもらいたいのですが・・・
みなさん、こんばんは。
司法書士@五反田の荒谷健一郎です。
だんだん日没の時間が早くなってきたな〜と感じる今日この頃です
さて、「生前に相続放棄をしてもらいたい」と考えたとします。
しかし、現在の法律では、生前に相続放棄をすることは認められていません。
この場合に、相続放棄と同様の効果がある方法としては、
まずは、推定相続人(遺留分を有する人に限ります)を廃除(はいじょ)するという手続があります。これは、その推定相続人が被相続人を虐待していたような場合に、家庭裁判所の審判を得て、推定相続人としての相続権をはく奪する手続です。剥奪された推定相続人は、被相続人の相続人になることができなくなります。
しかし、廃除する場合には、廃除事由が必要となりますので、誰でも彼でも排除できるわけではありません。
次の方法としては、遺言と遺留分放棄を組み合わせる方法です。具体的には、放棄してもらいたい推定相続人には遺産を取得させずに、他の者に遺産を取得させる旨の遺言を作成します。ただし、このような遺言を書いただけでは、遺留分を有する相続人はその権利を行使することで遺産を取得することができます。そのため、遺留分を行使することを防止するために、遺留分を放棄してもらえば、その推定相続人は遺産を取得することができなくなります。(生前の相続放棄はできませんが、遺留分放棄はできます。)
ただし、生前の遺留分放棄については、家庭裁判所の許可が必要となります。この場合、家庭裁判所は、無条件の放棄を許可することはまずないと考えられ、許可する場合としては、放棄する推定相続人が、既に被相続人から一定の財産を譲り受けているような場合で、遺留分を放棄させても問題ないと考えるような場合でないとなかなか許可しない可能性が高いと考えられます。
ちなみに、遺留分を有しない推定相続人については、その相続人には遺産を取得させない遺言さえ作成すれば、それで足ります
次回は、相続欠格について書こうと思います