特別の利害関係を有する取締役とは?
みなさん、こんばんは。
司法書士@五反田の荒谷健一郎です。
今日は、「特別の利害関係を有する取締役とは?」と、マニアックな内容ですが、ご容赦ください。(専ら知識の確認のために書いてます。)
早速ですが、Aが代表取締役を務める株式会社X(取締役会設置会社)が買主となりと、個人であるAの所有の不動産の売買契約をする場合、利益相反取引に該当するため、事前にXの取締役会において承認を得る必要があります。
取締役会において、Aは通常であれば、取締役として決議に参加しますが、今回のような利益相反取引においては、Aは個人的利害関係を有するため、「特別の利害関係を有する取締役」となり、決議に参加することができないこととなっております。
ちなみに、決議に参加できないだけでなく、取締役会の議長にもなれませんし、定足数にもカウントされません。
さて、同様に、Aが代表取締役を務める株式会社X(取締役会設置会社)が買主となりと、同じくAが代表取締役を務める株式会社Y(取締役会設置会社)の所有の不動産の売買契約をする場合は、どうでしょうか。
ここでも、当該売買契約は利益相反取引に該当するため、事前にX及びYの取締役会において承認を得る必要があります。
しかし、この場合において、登記先例では、X及びYの取締役会の決議においては、Aは「特別の利害関係を有する取締役」に該当しないため、Aは決議に参加することができるとされています。
会社間の取引にあっては、両会社の代表取締役Aは、「自己取引原因取締役」ではあっても、「特別利害関係取締役」とはならず、取締役会において議決権を行使できるとされているんですね。
つまり、「特別利害関係取締役」となるのは、取引によって取締役「個人」が利益を受ける場合なんです。
それでは、おやすみなさい。
参考図書「利益相反行為の登記の実務」(新日本法規出版)