不動産の「公簿売買」と「実測売買」
みなさん、こんばんは。
司法書士@五反田の荒谷健一郎です。
明日から、3連休という方もいらっしゃるかと思いますが、皆さんはどうでしょうか。
さて、不動産を売買する場合、「公簿売買」と「実測売買」という言葉を見かけることになるかと思います。(この話は、以前に「不動産法務・登記相談所」でもお話しさせていただきました。)
「公簿売買」とは、簡単に言うと、登記記録上の地積(土地)や床面積(建物)を基準として、不動産を売買することです。
広大な土地(山林など)を売買する場合や、わりと最近に面積を測りなおしている記録がある場合においては、「公簿売買」にて売買契約を締結されることがあります。これは、土地を測量し直したり、測量の結果、面積が登記記録上のものと相違していた場合に登記記録を更正する登記を申請するのに多額の費用(測量費、登記費用など)と時間、労力(隣地所有者都の境界確認書の取り交わしなど)がかかるので、それを省略することで、簡単に売買してしまおうとする方法です。
また、公簿売買の場合は、実際に測った(実測した)場合に、たとえ面積が登記記録上のものと相違していたとしても、面積に応じて、売買代金を増減させない旨の特約を入れておくことが多いかと思います。
それに対して、「実測売買」とは、簡単に言うと、実際に測り直した地積(土地)や床面積(建物)を基準として、不動産を売買することです。
不動産の価値が高い場合(都会における宅地)や、最近に測った記録がない場合においては、実測売買にて売買契約を締結することになることが多いかと思います。
不動産の価値が高いと、面積が数平方メートル異なっただけで、売買代金に及ぼす影響が強いからです。
また、最近に測った記録がない場合は、登記記録上の面積と実際の面積が大きくかい離している場合がありますので、やはり測り直した上で、不動産を売買するのが適当かと思います。(昔の測量技術による精度と、今の測量技術による精度は全然違いますからね。)
特に、売主・買主双方の公平の観点から考えると、公簿売買より実測売買の方がいいことには間違いありません。
ただし、先ほど述べたように、実測売買を行う時は、測量する費用がかかります。この費用は売主が負担するのか、買主が負担するのか、それとも折半するのか適宜話し合う必要があります。
また、測量結果の面積が登記記録上と相違していた場合に、登記記録を更正する登記を申請するのかどうかも取り決めておく必要があります。
個人的には、誤差の範囲内と考える面積(例えば1平方メートル未満など)の相違は、登記記録まで更正しなくてもいいのかと思いますが、最終的には、買主売主間で判断するところとなるかと思います。
なお、先ほど述べたように、登記記録を更正する登記を申請するのに、多額の費用と時間、労力がかかりますので、もちろんそれらも考慮したうえで判断することになるかと思います。
ケースによっては、契約締結前に、隣地所有者との立ち会いを省略した形で、現況測量をしておくことで、買主が安心して契約に望める場合もあるかと思います。
現況測量をしておくことで、ほぼ正確な面積を知ることができ、売買代金額も想定できるからです。
これから不動産を購入しよう・売却しようと考えている人は、是非知っておいて下さいね