仮差押えの登記を抹消する方法 続編
みなさん、こんばんは。
さて、先日の続きで、「仮差押えの登記を抹消する方法」をお伝えいたします。
それは、「事情変更」による仮差押え命令の取り消しです。
事情変更の例としては、保全すべき権利(債権者の有する債権)が、弁済や相殺などで消滅した場合である。
この場合、仮差押え命令をそのまま存続させることは、不相当であり、債務者保護の観点からよろしくないため、「事情変更」による仮差押え命令の取り消しが認められているのであります。
それでは、先日の例のように、「仮差押え執行後、本案提起されず、著しく長期間にわたって仮差押えの登記がされている状態が続いた場合」は、「事情変更」による仮差押え命令の取り消しがみとめられるでしょうか。
答えは、「認められる」ようです(ケースバイケースではありますが)。なぜならば、債権者の「保全意思の放棄又は喪失」(債権者自身が自己の権利を保全するための意思を放棄した又は失ったということ。)が認められるからだそうです。
なお、保全執行の終了後も保全命令による時効中断の効力は存続し、被保全権利は消滅時効にかからないとするのが判例のようですので、要注意です。
ちなみに、債権者が仮差押登記の抹消手続を承諾してくれる場合は、債権者に仮差押申立を取り下げてもらえば、裁判所から嘱託で抹消登記がなされます。
以上、かなり専門的な答えになってしまいましたが、簡潔に述べると、「仮差押えの登記の抹消方法」は、通常の法務局での登記手続(登記所に申請する手続)では、抹消することはできず、裁判所を通しての手続を行わなければならないということです。とすると、やはりこの場合は、専門家に依頼していただいた方がいいでしょうね。